(仮称)松山市がん対策推進条例の策定を目指す専門部会のメンバーで
愛媛県立中央病院 小児医療センターを訪問し、
石田センター長より「小児がん」について学ばせて頂きました。
「小児がん」とは、子どもの白血病や悪性腫瘍の総称。
小児がんは、大人のがんと比較して種類や進行が大きく異なり、
薬に対する感受性が高く、薬が効きやすいが早急な対応が必要である。
小児期の死亡原因は悪性新生物が上位に位置し、
好発年齢もありますが、生まれながらの遺伝的要因が発症要因の一つ。
今では約8割が治るとのことだが、治療成績向上の理由として、
集団的治療の進歩や多施設共同研究による臨床研究の成果が出ている。
病状が同じなら、日本小児がん研究グループを中心とした
全国で統一した同じ治療が受けられる等、治療方法に差が発生しない。
2013年に診療レベルの向上と紹介病院のネットワークを目的に
小児がん拠点病院の集約化を目指して、全国37施設から申請された。
15施設が選定され中四国では広島に小児がんの拠点病院がある。
小児がん治療による直接的・間接的な影響によって生じる合併症のことを
「晩期合併症」という。
症例として成長・発達への影響や臓器機能への影響、
生殖機能への影響、二次がんなどが起こる可能性がある。
20年から30年で約5割が晩期合併症を発症し、3割は治療が必要である。
晩期合併症がある場合、約3割が就労ができていない。
小・中の院内学級は県中や日赤、愛大病院に設置されているが、
高校以上の教育機関の院内学級はない。
中高一貫校での復学を認められないなど、
教育を受ける機会が失われている。
県教委や市教委への理解が得られていないが、
東京都など他の自治体では認められている場合もある。
「晩期合併症」の認知度を高めるとともに、
長期フォローアップ手帳の導入など、
自治体での取り組みが重要である。
市のがん条例の案に、
小児がんをどう取り入れるかとの議論が
先の専門部会でありました。
今回の勉強会では、原疾患に対する治療が終了後も、
晩期合併症のリスクはある程度予想可能なため、
本市独自の中長期的な取り組みも検討していく必要があると感じました。
幼少期発症を知らない罹患者のためにも、
長期的なフォローをどうするのか、
小児慢性特定疾患等についても、
視野を広げながら取り組む必要があると考えます。